どちらかというと読んでない人向け・とても不親切な『メグとセロン』の話
今日のレビューはこの本です。

メグとセロン〈3〉ウレリックスの憂鬱 (電撃文庫)メグとセロン〈3〉ウレリックスの憂鬱 (電撃文庫)
(2008/07/10)
時雨沢 恵一

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いきなり、第3巻です。
しかも、スピンアウト作品のシリーズの第3巻です。
『メグとセロン』がタイトルで、「ウレリックスの憂鬱」がサブタイトルです。
つまり、主人公の名前が「メグ」と「セロン」で、
サブタイトルの「ウレリックス」も作中に出てくる人の苗字です。
でね、あえてサブタイトルから話を起こすけれどウレリックスさんは
演劇部の、

…その前に説明しておくことがあった。忘れてた忘れてた。
このブログで以前、アリソン (電撃文庫)というライトノベルのレビューを
書いたことがあった。
レビュー書いた後にわかったんだが、『アリソン』は全部で4冊のシリーズだった。
そして、『アリソン』のシリーズが完結した後、
『アリソン』の世界観を引きついだ
リリアとトレイズ〈1〉そして二人は旅行に行った〈上〉 (電撃文庫)
から始まる全6冊のシリーズが展開してました。
そして今回紹介する『メグとセロン』は、
『アリソン』の続編シリーズ『リリアとトレイズ』のスピンアウトシリーズなのです。
今日レビューする第3巻の前に
当然1巻と2巻が出ており、それは
メグとセロン〈1〉三三〇五年の夏休み(上) (電撃文庫)
メグとセロン〈2〉三三〇五年の夏休み〈下〉 (電撃文庫)
というタイトルで出てます。1巻と2巻は2冊でひとつのお話です。
学園もので、ミステリーで、なおかつコメディーなのね。
「学校に地下室がある…?しかも誰かいる!誰?なんでそんなところに?」
というかんじの謎を解くため、なりゆきで知り合った生徒6人がいろいろと考えたり
体張ったりテンションを上げたりしながら仲良くなっていく話、と言えば言えます。
もちろん第1巻から先に読むことをおすすめします。
そうしないと、作品の世界観も登場人物も把握できません。
ならどうしてこのレビューは3巻からなのか?
なーに簡単さ。
私はこの巻がいちばん好きなんだ。

…。うん、作品のしくみについての説明終わり。
上のほうでちょっと話を出されていながら
放置されていた演劇部のウレリックスさんについては「続き」を。
で、ウレリックスさんです。
作中ではだいたい「ソフィアさん」って呼ばれてます。名前がソフィアだからね。
サブタイトルが「ウレリックスの憂鬱」になってますが
いったいこの人…ソフィア・ウレリックスさん…がどうして憂鬱なのかというと、


好きな人に好きって言えないんですね。


いろいろと縁があって彼女は
主人公たちにちょっとした謎解きを持ちかけてくるんですが、
そこの詳細は読んでもらうことにしよう。
この人は演劇部の副部長です。
本来は部長になるはずだったの。そのことは自他ともに認めていたんだけど、
不可抗力のとある事情によって部長になれなかった人です。
演劇に関しては部長も一目おくほどのしっかりした人(←この文章は伏線だぜ)なの。

この話は、その、ソフィアさんがかっこいいのですよ。
ちょっと、その人となりがわかるところを抜書きしてみますね。
以下、色違い部分が引用です。


“「そう。私は四年間、いつか部長になると思って頑張ってきたのに、
ちょっとした運命の悪戯で副部長となった。部長はあのアーサー君。
今だから言えるけど、当時はずいぶん落ち込んだわ。
アーサー部長が悪いんじゃない。もちろんジョシュア先輩のせいでもない。
私の運が悪いだけって思って、副部長として日々を過ごして―
そして気づいたの」
「部長さんの頑張り、ですね?ですよね?」
「そう。アーサー君がアーサー部長になって、
一緒にいる時間が増えてくると、不思議ね。
今まで見えなかったところばかり見えてくるの。
あの人は演技にはいつも一生懸命だし、
誰にだって人当たりはいいし、性格を反映してか、
細かな実務能力はとても優れているし」
「うんうん。いいところはたくさんあるのでしたね!」
「そして、ある時私は、クランツ先生と二人だけでいる時に、
何気なく言ったの。“アーサー君は部長に相応しい人です”って。
クランツ先生が笑いながら言った言葉、いまでも覚えている。
忘れられない。先生はたった一言――“でしょ?”」
「うーん!みんな、いい人ばかりですね」
「ありがとう、メグミカさん。―だけど私はその時、私をひどく恥じたわ。
“私は四年以上、すぐ近くにいた人をきちんと評価することができなかったのか!”
って。どこかに消えてしまいたいとすら思った。
そして私は思った。私に与えられた“副部長”という役を、
全身全霊を込めてやり通すって。思えば、そう決めたときからなのかしら?
一緒にいるうちに、だんだんと仕事以外のことでも彼が気になりだして……、
たぶん……」”



はい、以上、ソフィアさんの独白の中から
本編で提示される謎のネタバレがないだろうと思われるところを
引用しました。
パソコンの画面上で読みやすいように、ほどほどのところで改行しております。

このセリフで、私は「ソフィアさんかっこいいっ」と思いました。
だってさー…部長…リーダー…になりたかった人にとって、
だれに指摘されるでもなく
「4年以上、すぐ近くに居た人をきちんと評価することができなかった」
という(リーダーにとっては結構致命的なのかもしれない)ことを
自分で引き受けて認めるということは、
多分その…すごく痛い経験だよ。確かにそりゃ消えてしまいたくなるよ…。
自分の欠点に自分で気づいて認めちゃったら、
もう自分をごまかせないし、不運を嘆いたり人のせいにしたりはできなくなる。
しかも、リーダーになりたかったこの人は、
自分のリーダーとしての欠点を認めたうえに、
リーダーとして何が大事かちゃんと覚えて、
今おかれた立場でできる限りの力を尽くしている…。
これはかなりかっこいいことだと思う。

ということを、私はまずこのセリフから考えました。
それからもう一つ。

恋ってすぐ近くの人をきちんと見つめることから始まるのかもね。

ということを思いました。ありがとうソフィアさん。勉強させてもらったぜ。

ソフィアさんは好きな人に好きって言えずに憂鬱になってましたが、
その憂鬱は晴らされたのか?彼女の恋はどうなったのか?
そこはぜひ本編を読んでみてください。
そして、ソフィアさんのほかにもう一人、
「好きな人に好きって言えない人」がいます。誰かはここでは言わないが。
もう一人の「好きな人に好きって言えない人」の恋がどうなるかは…
『メグとセロン』シリーズが完結するまで、
長い目で見守ることになるでしょう。
【2008/12/03 22:39】 | ジャンルへの偏見をなくせ!(ライトノベル) | コメント(0) | page top↑
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